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誰にでもできる、悪い噂への厳選対処法とその根拠

      2016/07/07


人の噂も七十五日という。季節が移り変わるころには人の噂も消えますよ、ということわざだ。

しかし、現実的には噂はほうっておいてもなかなか消えない。むしろ、延々と尾ひれがついて、手のつけられない状況に陥ることも少なくない。

特に近年ではネット環境が整備され利用者が著しく増大したが、それにともなって根拠のない噂に苦しめられる人も急増しているという。

噂それ自体は人と人とにおけるコミュニティの形成にとかく必要になりがちな行動であって、通常問題にならないレベルであれば、良好な人間関係の構築などある面ではポジティブにとらえるべきではあると思う。

問題なのは、悪い噂だ。


噂の理論化――オルポートとタモツ・シブタニ

ところで、噂の流布に関する理論と分析で有名な人物が二人いる。

ゴードン・ウィラード・オルポート (Gordon Willard Allport)  

タモツ・シブタニ (Tamotsu Shibutani)

このお二方である。それぞれ簡潔に記そう。

ゴードン・ウィラード・オルポート 1897-1967

デマの基本法則 R=I×A

アメリカの心理学者であったオルポートはデマの基本法則をR=I×Aと公式化した人物で、それぞれRが拡大する噂の量、Iが噂の内容の重要度、Aが噂の内容の曖昧さを意味する。つまり噂がどれくらい広がるかというのは、その話を聞いた人にとって内容が重要であるかどうか、そしてその内容が曖昧であるかどうかによって決まるというもの。

これは噂の内容が当事者にとって重要なもので、かつ根拠に乏しい曖昧なものであればあるほど、噂が広まりやすいということだ。逆に言えば、当事者にとって重要でない噂であったり、噂の内容について、それを打ち消すようなはっきりした根拠や証拠があるとき、噂は広がらないということである。

タモツ・シブタニ 1920-2004

噂は即興的ニュースである

一方、日系アメリカ人社会学者のタモツ・シブタニは、噂というものは、信頼できる情報が不足しているにもかかわらず、その状況やテーマについて合理的な解釈をしようとする人の心的働きが、人と人との相互関係のなかで増強されてゆくものであるとした。

外部に信頼できる情報源がないとき、たとえば専門家や公的からの情報の量やその質が不足しているとき、人はそれを補おうとして噂が広まりやすくなるということだ。その度合が強まると悪意や煽動など危険性の高い噂に発展しやすくなるという。こちらも逆に言えば、信頼できる情報源がちゃんとあるとき、あるいは教条主義的ではあるが、専門家による詳細な説明公的機関の発表などが充分になされているとき、噂は広がらないということである。

このお二方のうち、一般的には後者の考え方が支持されるが、前者も多分に示唆に富むものであるといえよう。

ここまでを見てみると、気になる噂を打ち消すための方法論が導けそうだ。

根も葉もない噂に勝利せよ!

人が噂を流すとき、その背景には何かいろいろの理由や事情があるはずだ。

  • 自信のなさ、他人に対する嫉妬心や、あるいは自分に害を与えた人への報復として、明確な悪意や敵意をもって攻撃するつもりで噂を流している。
  • 実生活にて湧き上がる大きな不満感、あるいは恨みつらみや怒りを発散するために、快楽目的で噂を流す。
  • 自分が噂のターゲットにならないように、そして人から仲間はずれにされないように、身の安全を求めて噂を流す。
  • 自分こそが正義だと思っていて、間違ったことを正すつもりで噂を流す。
  • 単純に暇で、話をして盛り上がりたいがために噂を流す。

例をあげればきりがないが、概ね自分を認めて欲しいという承認欲求から惹起しているといえそうだ。

そこでまず理解しなければならないことには、他人は変わらない、変えられないということ。人は人生、何年何十年という歴史、バックボーンを持っている。その歴史の上に現在の性格、そして言動が形作られているのだから、他人がちょっとやそっととがめたくらいではびくともしない。だから、噂を流す人を変えようと努力するだけ時間とエネルギーの浪費になってしまう。

大前提として自分が変わる必要がある。そして、それは遥かに少ない労力で実現できる。

さらに、世の中にはスリーパー効果というおもしろい現象がある。

これは信頼性が低く容易には受け入れがたいメッセージであっても、受けてから数週間から数ヶ月程度のしばらくの時間が経過すると、記憶が薄れることによって心理的に軟化してしまい、受け入れやすくなってしまうという変わった現象だ。これにより、実際には根も葉もない噂であるにもかかわらず、だんだんと不思議な説得力を帯びてくることがある。

スリーパー効果を回避するために、手を打つならば早いほうがよいだろう。

効果的な対処法とは?

曖昧さを消せ!

オルポートとシブタニのいう理屈から、まずは噂の内容の曖昧さを消すことから考えよう。

  • 多くの人から信頼されている人に相談する

たとえば、職場の男性からの一種の求愛行動について、こちらにはその気が全くないにもかかわらず、周囲の人々からはやしたてられて迷惑しているとか、ただ家族と歩いていただけなのに、男女の関係であるとあらぬ疑いを持たれて困っている……などというとき、周囲の人々からの信頼の厚い人に、できればふたりきりで相談する。しっかりと噂を認識してもらい、特にその話を信じている人や発信している当事者に対して、少しずつ真実や事実関係を伝えてもらう。

前者の例では、その気がないこと、噂に非常に困っていて精神的にすり減っていることなど伝える。後者の例では、男女関係にあると噂されている人物は実際には家族であるとを説明する。なんなら写真を見せてもいいだろう。このとき、真剣に、深刻な感じで伝えておくと、より効果が高くなる。

自分が信頼を置いている人の意見はとても受け入れやすい。この方法では、周囲の事実関係の認知に多少時間のかかることがデメリットではあるが、着実に噂を終息の方向に運ぶことができるだろう。

  • 噂の発信源、大ボス自身に相談する

ときには噂の張本人が、まさに多くの人々に信頼される人だということもあるかもしれない。こういうとき、むしろ自分からその人に相談することもできる。具体的には、誰かがこれこれこういう悪い噂を流しているみたいなのだが、心当たりのある人はいないだろうかと尋ねてみたり、犯人が噂を流しているところを現行犯でとらえるつもりだと意思表示してみたりするわけだ。そして先ほどの例のように事実関係を説明して、根も葉もない噂であると断言し、最悪しかるべき措置をとることもやぶさかではないことを伝えておく。

あるいは頻繁にその人に接触し、菓子折りを渡すなどして仲良くなるという手もある。そして噂を否定し、苦しんでいることを伝える。

噂を流したがる人は自分に自信がなかったり、強い承認欲求があるなど、どちらかというと臆病な人間であることが多いので、相手が強力であることを知れば沈黙しやすい。そして仲良くなっておけば、承認欲求も多かれ少なかれ満たされるので、今度は逆に良い噂を流し始めることも期待できる。

ただし、この方法で注意しなければならないのは、決して発信源に取り入るわけではないということだ。これを忘れてしまうと、今度は自分が誰かを傷つけることに繋がってしまいかねない。

  • はっきりとした否定の態度をとりつづける

周囲の人々に対して、はっきりと事実を説明し、噂を否定する。これは上記についても言えることだが、実行するときに特に大切になってくるのは、あくまでも冷静に説明することと、どれだけ真剣に悩んでいるかを切々と伝えることだ。ここでは曖昧さを排除しようとしている以上、明確な言葉でもって毅然とした態度で説明する必要がある。なんなら最終手段として涙を流して感情に訴えてみてもいい。

曖昧さを消すためには、それなりの証拠が必要になることもある。特にそれが重大になってくるのが、お金を盗まれたなどという犯罪がらみの事実無根の噂を流されたときだ。

だから、その噂においてどこが曖昧な点なのか、どのような事実や証拠を認識してもらえば曖昧さがなくなるか、これらをよくよく考えてみることが大事である。

最初に述べたとおり、いくら無視していても解決しない。自分を変え、行動することだ。

重要度を下げよ!

次に、噂の重要度を下げる方法を考える。これはいくらでも思いつくだろう。

  • 噂話をできるだけ避け、話にのらない
  • 何を訊かれても似たり寄ったりの返事をする

その噂が正しくないことを確信しているから、私は噂話には参加しませんよ、あなたがたを楽しませる反応もしませんよ、という意思表示である。

「ふーん、そうなんだ」「あっそう」「それがどうしたの?」などと他人事のように続けて、相手の興味をそぐ。

そして、似たり寄ったりの返事をし続けるなどして、話す気がないことを理解させるわけだが、このとき多くのシーンで質問を粉砕できる有効な魔法の言葉がある。

それが「知らない」「関係ない」の一言だ。

これを続けられると話してもちっとも楽しくない。相手のほうからだんだん離れてゆくだろう。

こちらにおいて大切なことは、とにかく相手に噂をするだけの価値がないと思わせることにある。

  • 「あなた、それを知ってどうするの? 何になるの?」

噂話の好きな人は自分のことを認めてほしい欲求があることをふまえ、その噂をすることにはあなた自身を認めさせる作用や効果はないことを理解させる。

さらにこのとき、逆に訊き返すようにすることによって、詮索されたくないという気持ちを引き起こすことが期待できる。

気をつけなければならないのは、訊き返すといっても直接関係のある具体的な内容を訊き返すわけではないということ。

なんなら、「それはそうと明日は休みだ。あなたは何をする?」というように話をすり替えることもできる。

立ち上がれ! 徹底的に抗え!

本当にろくでもない人はいるもので、前述のようなことをしていると、突然無視されたり、あるいは危害を加えられて苦しめられることもある。

こういうとき黙ったままでいると身に危険が及ぶことになる。自分だけならまだしも、自分にとって大切な人が巻き込まれたりしたら大変なことになるだろう。

もはやこの段階では犯罪の性質を帯び始めている。

  • あらゆる証拠を記録し、しかるべきところに提出する

そこで、まずは手軽にできる行動として、とにかく記録をとることをおすすめしたい。無視される、嫌なことを言われる、そういったことがあったら、即座にできるだけ詳しく記録する。この記録がある程度たまったら、しかるべきところに提示するのだ。

たとえば会社であればまず役員、人事に知らせる。さらに弁護士に相談しに行ったとか、法テラスに相談中だというように、抗戦する意志があることを匂わせておく。まともな会社であれば、人間関係のトラブルには非常に敏感であるから、敵の懲戒処分を狙えるかもしれない。

はっきり何かされたら警察へ。


最後に、基本的に他人に対して詮索すべきでない事項をひととおり記載しておこう。

年齢、(厳密な)住所、身長、体重、資産の有無、給与所得者ならば給料、恋人の有無、政治的思想、宗教的思想

これらについて気軽に質問するのはできるだけ避けたほうがいいだろう。

 

結局、あなたの身を守れるのはあなただけだ。

 

それでは失礼いたします。

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