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DTM初心者必見! おすすめのピアノ音源を聴き比べてみよう!

      2021/05/22

piano, wing, aquarium


ピアノ、翼、水族館

Photo by pixundfertig on Pixabay

私はこれまで十年以上にわたって企業や個人の同人作家などから依頼を受けて、作編曲はもちろん、ミキシング、マスタリングまで、音源制作に関することのほとんどを行い、たくさんの経験を積み上げてきました。

私はピアノ音源にことさらこだわりがありまして、最高のピアノ音源とはいったいなんなのか、常に模索してきました。

やはり本格的なものとなると有料音源となりますが、こちらで比較音源を用意しましたので、実際の音を聴いてみて、ご自分の感覚や制作している曲にマッチした音源を選ぶための指標としていただければ幸いです。


【私の主戦力ピアノ】

手前味噌ですが、最初に2021年現在、私がメインで使用している音源をご紹介します。

このような音になります。自作曲で、一番目は実際に各ストアで販売しているジャズ、二番目は落ち着いたピアノソロです。

ジャズ音源のほうは比較的一定のベロシティでペダルなしの場合どのようになるかということと、ソロ音源のほうはピアニッシモからフォルティシモまで幅広く、かつペダルありでどのようになるかということ、一般に気になるのはこのあたりでしょうから、充分確認に使えるでしょう。

メインで使用しているピアノ音源は次のとおりです。

Imperfect Samples – Walnut Concert Grand

Imperfect Samples – Fazioli Ebony Concert Grand

Cinesamples – Abbey Road Classic Upright Pianos
現在入手不可。

Best Service – Galaxy II Vienna Grand

単品としてはパーフェクトに近い、完成度の非常に高いProduction Voices – Production Grand 2単体で使うこともあります。

先述の音源では、基本的にはWalnut Concert GrandかEbony Concert Grandのどちらかに、ほかの二つのどちらかを組み合わせて使用しています。小さな音はまろやかで、大きな音は激しく主張し、かつどちらの場合も太い音のピアノを実現するためには、特定の一つの音源を使用するだけではほぼ不可能で、最終的にこのような組み合わせにいたりました。

Walnut Concert Grandはとてもバランスのとれた音源であり、Fazioli Ebony Concert Grandは空間表現と生々しい実演奏の雰囲気の再現に優れているので、これらのどちらかを下地として使用します。個人的には主にEbony Concert Grandを使っています。

そこにAbbey Road Classic Upright Pianosを重ねるのですが、これは高音域でも太めでよく通る音なので、主にジャズを作るときに使用します。ピアノソロのときもよく重ねます。Abbey Road Classic Upright PianosはAbbey Road Studioとの契約が切れたのか、2021年現在は入手不可能ですので、私の真似をしたいという奇特な方は、何か別の硬めかつ太めの音源を代用として使う必要があります。

Galaxy II Vienna Grandは主にピアノソロを作るときに重ねます。こちらはややソフトな方向へ事前に設定しておく必要があるのですが、Fazioli Ebony Concert Grandの高音域でやや不足している芯の硬さを補います。逆にGalaxy単品ではやや線が細いので、Ebony Concert Grandのように太さと豊かな空間表現の得意な音源を重ねて補います。

各音源の聴き比べ用プレイリスト

ピアノ、楽譜、音楽

Photo by stevepb on Pixabay

設定は特に断りがない限り全てデフォルトの状態です。いくつかの音源はリバーブの2C-B2とAdaptiverbを軽くかけてお化粧していますが、基本的なキャラクターが損なわれない程度の効果にとどめます。

なお、各音源はIntegrated loudnessを-17.0LKFSに統一していますので、CDなどのような爆音音源からすると音が小さく感じられるかもしれませんが、アコースティック楽器においては各音源が持つ本来のダイナミクスを理解する必要がありますので、ご自身の再生環境で音量を上げてお聴きいただくことを推奨いたします。

プレイリストの順番はサイト上の順番と同じではありませんので注意

各音源の説明とリンク

CDカバー、女性、ピアノ

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タイトルをクリックするとメーカーサイトに移動します。

Imperfect Samples – Fazioli EBONY Concert Grand おすすめ!

圧倒的な生々しさと空気感、そして太さとまろやかさを持ったFazioli音源です。癖のある音源で取り扱いが難しいですが、うまく使えるようになるとなぜかこの音源から離れることができなくなります。それくらい不思議な魅力のある音源です。

Imperfect Samples – Walnut Concert Grand おすすめ!

すばらしい生々しさと美しさを兼ね備えた音源です。やや高域が軽い。

Imperfect Samples – Hohner Baby Grand

Ebonyにくらべると少し軽いですが、充分戦力になる音色です。

Production Voices – Production Grand 2 おすすめ!

単体でも用途を問わずかなり使えます。あれこれ迷うくらいならこれを買ってしまったほうがいいでしょう。

Best Service Galaxy II Vienna Grand おすすめ!

Galaxyの中ではVienna Grandがとてもよいです。ややソフトな設定にしています。パラメータ調整によって硬めの音にも柔らかい音にもできます。

Native Instruments – Alicia’s Keys

Alicia Keysさんが好きな方にはよいと思います。日本でも一時期この音源が流行りましたね。

Native Instruments – NOIRE おすすめ!

基本独特なまろやかさを持っておりますが、質感は調整できます。とてもバランスの良い音源です。パーティクルエンジンを使用して雰囲気のある曲を簡単に作ることもできます。

Cinesamples – Abbey Road Classic Upright Pianos

アップライト。絶版。

Cinesamples – Piano in Blue

ジャズ向け。

Chocolate Audio – The 88 Series Model D Grand

どちらかというとジャズ向け。有名ではありませんが、意外にもかなりいい感じの音で、バランスもよいです。別の音源と組み合わせるのにもかなり使えそう。

Orchestral Tools – The Orchestral Grands

クラシック向け。素の状態でコンサートホールで弾いているような雰囲気になります。とてもバランスのいい音源で、とっても気分よく弾けますよ。

Fracture Sounds – Woodchester Piano

静かなソロに特化したような音源。すばらしいまろやかさと太さを持った心地よい音源です。

Fracture Sounds – Midnight Grand

映画やゲーム音楽向け。癖はあるものの、ほかにはないすばらしくまろやかな質感。

Synthogy – Ivoryシリーズ おすすめ!

どれもとてもバランスのとれた音源で、太さも良好です。使っている人が多く、いずれもどこかで聴いたことのある音ですが、ピアノに特別なこだわりがなければ、無難にIvory IIを選択しておけば間違いないでしょう。こだわりがないのにどれにすればいいかなんて、言い方は悪いですが考えるだけ時間の無駄です(それくらいIvoryはどれもよくできています)。
個人的にはベーゼンドルファーとイタリアングランドだけでも充分かなあと思います。これらを別の音源と組み合わせることもできます。

Synthogy – Ivory II Bosendorfer 290

Synthogy – Ivory II Italian Grand

Fluffy Audio – Scoring Piano おすすめ!

単品で完結しうるすばらしい品質のピアノ音源です。あらゆるジャンルの音楽制作に即戦力となるでしょう。

Fluffy Audio – MyPiano

ピアノの音をお好みどおりに作り上げることができる音源です。基本のMy PianoとCinematicの二つを重ねると、意外にも使える音に変身します。音源ではこの二つを重ねています。あとアライグマの後ろ姿に哀愁が漂っててかわいくて好き。

Westwood Instruments – Upright Felt Piano

アップライト。その名のとおり独特なまろやかな音色で、落ち着いた曲に合います。高音域が弱くなるのは宿命か。

Westwood Instruments – ALT PIANO

アップライト。安い音源ですが意外にもなかなかいい音してます。ジャズにはふつうに使えそう。ややFelted寄りにするとよい。

Simple Sam Samples – Vintage Upright

アップライト。ジャズ向け。

世の中にはピアノ音源はまだまだたくさんありますが、とりあえず今のところはこれくらいにしておきます。

ピアノ曲制作の実際

音源選びよりも音源に合わせて作ることが重要

ピアノ音源に限らず、アコースティック音源にはダイナミクスの広さの違いによる音質の変化の仕方など、それぞれに特有の癖があります。その癖に合わせて打ち込みやエフェクト処理をしていく必要がありますから、実のところ使用するMIDIデータを固定して各音源で再生するというのは、まさにあくまで参考程度にしかならないのです。ある音源ではすばらしいクオリティであっても、別の音源で再生すると破綻しているということが起こるのは必然なのです。

気に入った音源が見つかったら、文字通りその音源をしゃぶりつくす勢いで、その音源に合わせた曲作りをできるようになりましょう。あれもこれもと浮気するよりもよほど実力がつきますよ。

 

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